標本室を歩いていると、ときどき言葉が採集される。
名言ではない。
教訓でもない。
世界を観察している途中で、
名前のなかった現象に付いた仮のラベルである。
採集は、継続中。
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採集語録「締切大神」

「締切大神」
御祭神:締切大神(しめきりのおおかみ)
御神徳:迷いを断ち、
あるものをあるところまで
運び切る力
御神託:盛るな、迷うな、深追いするな
祓詞:整え給え、迷わせ給うな、
出させ給え、間に合わせ給え
功徳:完成する
〈観察メモ〉
まだ調べたい。
まだ調整したい。
もう少し直したい。
もう一度考えたい。
そう思っているところへ、
締切大神がやって来る。
「はい、そこまで」
それによって、
作品はようやく世に出る。 -
採集語録「フェイク成句」

「フェイク成句」
実在しない、
あるいは生まれたばかりの
言葉・言い回しを、
AIなどが既存の成句・専門概念で
あるかのように、もっともらしく
意味づけ・体系化してしまう現象。
〈観察メモ〉
フェイク成句について説明している
この文章自体が、
「生まれたばかりの言葉を
既存概念のように説明する」
誘惑を持っている。 -
採集語録039「橋梁技師」

「橋梁技師」
異なるもののあいだに橋を架ける人。
此岸と彼岸。
自分と他者。
意識と無意識。
過去と未来。
写真と言葉。
見ることと表現すること。
外へ採集しに行くことと、
内へ戻ってくること。
どちらか一方に答えを求める
のではなく、両岸を見ながら、
そのあいだに渡れる場所をつくる。
橋を架けたあと、
自分が渡ることもあれば、
誰かが渡っていくこともある。
ときには橋を架けず、
「ここにはまだ橋はいらない」
と判断することも仕事のうち。
〈観察メモ〉
入口は美しく、
渡るところは堅牢。 -
採集語録038「一夜漬け瓶」

「一夜漬け瓶」
ネガティブな感情や昂る想いなど、
そのまま一旦引き受け、
相手に直接伝えたり、
感情の赴くままにSNSに書いたりせず、
一晩預かる瓶。
朝になっても残っているものだけ
掬い上げる。
夜の感情は、 醗酵し、
朝になると少し味が変わる。
〈観察メモ〉
・勢いで送りそうなLINE
・勢いで公開しそうなブログ
・勢いで辞めそうな仕事
・勢いで告白しそうな恋心
〈使用方法〉
① 瓶に感情を入れる
② 蓋を閉める
③ 寝る
感情は泡。
眠るとたいがい消える。
残っているのは、 案外、
ありがとうだったりする。 -
採集語録037「余白大神」

「余白大神」
御祭神:余白大神(よはくのおおかみ)
御神徳:焦らぬ心・熟成促進・想像招来
回収補助昼寝容認・寄り道保護
御神託:空けよ。埋めるためではない。
世界が入ってくる余地を
作るためである。
祓詞:祓え給え、清め給え、守らせ給え、
幸え給え、余白給え」
〈観察メモ〉
余白とは、何もないのではなく、
まだ名前のついていないものが
入ってこられる場所のことである。
焦って埋めず、答えを急がず、
少し空けておくことで、
偶然や創作、思いがけない
回収が起こる。
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採集語録「締切大神」
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採集語録「フェイク成句」
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採集語録039「橋梁技師」
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採集語録038「一夜漬け瓶」
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採集語録037「余白大神」
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採集語録036「寄り道こみち」
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採集語録035「無意識の選跡」
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採集語録034「無意識の筆跡」
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採集語録033「歩いていたら構成が生えてきた方式」
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採集語録032「行って帰ってくるん物語」
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採集語録030「たしかに星人」
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採集語録029「人間刺繍解析室」
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採集語録028「calling me 現象」
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採集語録026「カオス観測所」
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採集語録025「情報量異常」
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採集語録024「たまらん星人」
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採集語録023「いやしかし星人」
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採集語録022「無意識舞台魔」
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採集語録021「無意識露出魔」
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採集語録020「勾玉関係」
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採集語録019「映え逆行」
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採集語録018「タイパ逆行」
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採集語録017「勾玉体質」
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採集語録016「反転術式〈勾玉〉」
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採集語録015「勾玉現象」
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採集語録014「執念大神」
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採集語録013「整之大神」
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採集語録012「回収大神」
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採取語録11「トマソン地雷」
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採集語録010「領域展開〈あわい〉」
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採集語録009「長湯体質」
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採集語録008「決定的愛着」
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採集語録007「未来は過去を照らす」
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採集語録006「回収は未来からやってくる」
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採集語録005「如実夢」
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採集語録 004 「露天読書」
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採集語録 003 「振れ幅の化神」
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採集語録 002 「刺繍とは如実である」
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採集語録 001「幽界漏れ」
