• 採集語録117「聖地防衛本能」

    「聖地防衛本能」

    自分にとって大切なものがある。

    長い時間をかけて築いてきた価値観。
    憧れ、誇り、こだわり。
    簡単には踏み込ませたくない領域。

    自分が守ってきたものを、
    他者が軽々しく名乗る。
    自分が守ってきた境界を、
    他者があっさりと越えていく。

    そのとき、心のどこかで何かが反応する。

    「そんな簡単なものじゃない」

    その思いは、ときに他者への批評や、
    社会への苦言となって現れる。

    その言葉の奥にあるのは、
    純粋な美学なのか。
    職業的な矜持なのか。
    それとも、自分が大切にしてきた領域を
    脅かされたように感じる気持ちなのか。
    あるいは、そのすべてなのかもしれない。

    聖地を守るつもりが、
    いつの間にか聖地の境界線を
    自分の外側にまで引き直している。


    〈観察メモ〉
    他者の言動を批評する文章には、
    書き手が何を大切にし、
    何を脅威と感じているのかが、
    意図せず滲み出ることがある。

    もちろん、外から見えるものだけで、
    その人の内心を決めつけることはできない。

    ただ、言葉が生み出した構造は、
    書き手の意図を超えて、
    観察の対象になりうる。

    聖地を守る人と、
    その防衛の様子を観察する人。

    観察する人にも、
    守っている聖地がある。


    〈関連語録〉
    野暮パラドックス
    野暮ぉ節介
    トマソン地雷
    境界大神

  • uta-219

    近づけば
    離れ難くも
    勾玉は
    結んだ指を
    するりとほどく


  • uta-218

    返歌待つ
    古人に
    想い馳せ
    画面の文字を
    指でたどり


  • uta-217

    宇宙ばかり
    眺める今日も
    片想い
    また季節が
    一回りした


  • 採集語録116「捨て魔」

    「捨て魔」

    愛称:すてま


    整之大神の眷属。


    捨てることに快感を覚え、

    物を手放すことで
    世界を整えようとする人。
    また、その状態。


    「もったいない」より「すっきり」を優先する。

    「いつか使う」は禁句。
    ゴミ袋を持つと目が輝く。

    他人の家でも、
    捨てられそうな物を見つける能力を持つ。


    〈観察メモ〉
    整之大神のもと
    捨てれば捨てるほど、
    場は整い、心は軽くなる。

    捨てて、捨てて、さらに捨てる。


    ごくまれに
    「あれも捨てたんやった……」
    という後悔に襲われるケースもある。

    「これ要る?」が口癖。

    注意:
    ステルスマーケティングとは一切関係ありません。





    〈関連語録〉
    整之大神
    非所有型収集
    付喪神再就職支援センター
    野暮焼却炉

  • uta-216

    さよならと
    あっさり帰った
    その夜は
    匂いさえも
    思い出せずに


  • uta-215

    すれ違い
    何度もすぎて
    振り返る
    出会えたのは
    影法師


  • uta-214

    宙にのせ
    何度も
    すれ違った刹那
    可笑しいな
    脚が止まる