昼下がりのコロッケ。

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©️ SATOKO NOGUCHI

 

サクサクでホクホクな
お肉屋さんのコロッケのことで
頭がいっぱいになったまま
自転車を置いて商店街へ入ると

パステルカラーに輝いた光景に
私は心を奪われた

いつも見ていた
灰色がかったムードはどこへ?

暫しの混乱を経て
気が付いた

天窓が新しくなり
以前よりもたくさん
光が降り注ぐようになっていたのだ

揚げたてのコロッケを抱えて
自転車に戻った

なんだか幸せだ
心軽やかな昼下がり

春のような冬の一日。

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©️ SATOKO NOGUCHI

天神さまの帰り道
橋を渡り終わるころ

甘酸っぱい
懐かしい香りが
わたしの鼻をくすぐった

見上げれば一輪

風に揺られて
微笑んでいる

わたしのセーターも
ピンク色だったから
なんだかいい気分になった

2020年
あたたかい冬

圧倒的に美しい夜。

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©️ SATOKO NOGUCHI

群青色の空
シルエットになった山の稜線に
圧倒的な存在感を放ちながら
昇ってくる

それを眺められるこの時間が
ものすごく愛おしい

もうとっくに空高く昇ってしまったが
私の心にはその時の余韻が
ずっと残っている

今宵の月は
本当に美しかったから

秋のはじまり。

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©️ SATOKO NOGUCHI

夕暮れどき
駅の裏通りを
何とはなしに歩いていると

風の中に
懐かしい香りを見つけた

思わず立ち止まる

その香りに紐づけられた
色々を思い出すが

その色々はすぐに
消え去ってしまう

いつも秋を知らせてくれるのは

金木犀

夏の朝。

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©️ SATOKO NOGUCHI

夜明け前
残酷な夢から
半ば強制的に戻ってきた

シャワーを浴びて
涼しいうちにお参りへ

境内に入る頃には
すっかり辺りは明るくなり

槐の木がふうわりと
白い小さな花を咲かせていた

わたしはやっと安堵して
帰ったらもう一度
ベッドに入ろうと心に決めた