• 採集語録027「渦中観察」

    「渦中観察」

    感情の渦中にいながら、

    同時にその自分を
観察している状態。


    〈観察メモ〉
    悲しい。

    かなり悲しい。
    なのに、
    「なぜこんなに悲しいのか」
    と考えている自分がいる。

    涙を流しながら、
    
涙の出どころを探している自分がいる。

    感情に飲まれているのに、
    
その濁流の様子まで見ている。

    そして、泣きながらふと思う。
    これは、なかなか面白い。

    観察しているからといって、
岸辺にいるとは限らない。
    渦中にも、
観測所はある。

    涙だけではない。
    いつもなら感動する料理が、
味気なくなることもある。
    感情は舌に影響する。
    そのとき舌もまた、
観察対象になる。

  • 採集語録026「カオス観測所」

    「カオス観測所」

    静かで安全で整えられた場所に身を置き、
    混沌そのものや、そこから生まれる生命力を
    観察する習性。またはその場所。



    観察メモ〉
    カオスを観察するためには、
    静けさや余白、清潔さを必要とする。

    しかし、創作の源泉はいつも、
    場末、人混み、路地、恋愛、人間など、
    予測不能な世界にある。

    安全な岸辺から川を眺めるのではない。
    濁流の中へ入ってゆくためには、
    自分の中に静かな岸辺が必要である。

  • 採集語録025「情報量異常」

    「情報量異常」

    出来事、思考、連想が次々と発生し、
    互いに接続しながら増殖していく状態。
    本人にとっては、ごく自然な速度で進行している。




    〈観察メモ〉
    一つひとつの情報に異常はない。
    異常なのは、その接続の仕方である。

    なお、睡眠中にも発生することがある。

    関連用語:勾玉現象

  • uta-0109

    真夜中の濁流
    朝に渡りきり
    牛は獅子の
    隣で眠る

  • 採集語録024「たまらん星人」

    「たまらん星人」

    対象の魅力が一定値を超えると
    語彙が「たまらん」に収束する習性。

    自分ではどうしようもない多幸感に包まれたとき、

    「たまらん」としか言えなくなる。

    渦中にいるときよりも、
    その状態を観察している時の方が発生しやすい。



    〈観察メモ〉
    「たまらん」は幸せなときにかぎらない。
    散々傷ついて、落ち込んだ挙句、
    何かを掴んで戻ってきて一言、
    「……たまらんな」
    そのとき、たまらん星から
    たまらん星人が降臨する。

  • 採集語録023「いやしかし星人」

    「いやしかし星人」


    就寝直前、会話終了直後、一区切りついた瞬間など、

    思考が一段落したタイミングで、

    「いやしかし……」と新たな視点を持ち込み、
    話を再び転がし始める習性。



    〈観察メモ〉
    結論が出たようにみせかけて、
    「いやしかし」で再開する。
    考えが深まるというより、
    話が終わらない。

    感慨深いとき、新たな理解が生まれたときに
    いやしかし星から降臨する。

  • uta-0108

    近いのに
    遠くに見ゆる
    その岸の
    あわいに寄れば
    また離れゆく

  • 採集語録022「無意識舞台魔」

    「無意識舞台魔」


    本人が意図しないまま、
    日常に舞台的な場面や伏線を発生させ、
    後日それが勝手に回収される人。



    〈観察メモ〉
    本人は普通に生きているつもりなのに、
    そこにいるだけで、
    なぜかドラマのワンシーンのような場面が
    立ち上がる。