• 採集語録050「照応大神」

    「照応大神」

    御祭神:照応大神(しょうおうのおおかみ)

    御神徳:離れたものを照らし合わせ
        関係を顕し
        後から意味を結び直す

    御神託:急いで結びつけるな
        時が来れば
        互いが互いを照らし出す

    祝詞:照らせ給え、響かせ給え、
       結び給え、顕し給え


    〈観察メモ〉
    照応とは、何かと何かを
    無理に結びつけることではなく、
    離れて存在していたものが、
    ある時ふと互いを照らし、
    そこにあった関係が
    後から見えてくることである。

    先に概念があり、
    後から実例がやってくることもある。
    先に実例があり、
    後から概念が生まれることもある。

    概念と実例、過去と現在。
    標本室では、写真と言葉。

    離れていたものが出会い、
    互いの意味を照らし合ったとき、
    「そういうことだったのか」と
    初めてわかる。

    説明するのではなく、
    照応させる。

    意味を与えるのではなく、
    意味が立ち上がる余地を残す。





  • 採集語録049「境界大神」

    「境界大神」

    御祭神:境界大神(きょうかいのおおかみ)

    御神徳:境界に立たせ
        異なるものを往復させ
        見過ごされるものに
        別の層を出現させる

    御神託:越えてよし
        戻ってよし
        境目に立てば
        両方が見えてくる

    祝詞:越え給え、揺らぎ給え、
       往き来し給え、境を開き給え


    〈観察メモ〉
    境界とは、こちらとあちらを
    きっぱり分ける線ではないく、
    その両方が同時に見える場所である。

    聖と俗
    静と動
    粋と野暮
    幽界と顕界

    その境界に立つと、
    どちらか一方では見えなかったものが
    ふと見えてくる。

    境界大神は、
    境界を消す神ではない。
    境界を揺らし、
    そのあいだを往復させ、
    そこにしか見えないものを
    顕す神である。

  • uta-0147

    デリケートな
    毛並み撫でつつ
    怪獣を
    起こさぬように
    揺らさぬように


  • uta-0146

    ゆきゆきて
    落としたこころ
    そのままに
    足音遠く
    雨上がりの夜


  • uta-0145

    怖い怖い
    突きつけられて
    無理矢理に
    両目開くと
    まだ夢の中


  • 採集語録048「芋蔓刺繍」


    「芋蔓刺繍」

    ひとつのものを掘り始めると、
    思いがけない場所から別のものが次々と現れ、
    それらを辿っていくうちに、
    もともとは別々だった出来事・言葉・概念が、
    一本の糸でつながり、ひとつの模様として
    立ち上がってくる現象。


    〈観察メモ)
    掘っているときは芋蔓。
    振り返ると刺繍。

  • uta-0144

    以上でも
    以下でもないと
    告げられて
    私のこころ
    自由になった


  • uta-0143

    短歌詠む
    くらいには
    センチメンタルな夜に
    こうして笑う
    私がいる