• 採集語録080「あいのて稲荷」

    「あいのて稲荷」

    相手の言葉に、ほんの一音を添え、
    話に弾みをつけて、その人の口から
    思わぬ言葉を転がり出させてしまう神。

    あいづちが受け止めるものなら、
    あいのては次の言葉を生むもの。

    よきタイミングでほんの少し音を入れると、
    「そうそう、それ!」
    「いや、待てよ。そういうことかも」
    と、相手自身が次の言葉を見つけていく。


    〈ご利益〉
    話すつもりのなかったことまで、出てくる。
    本音が出る。笑いが出る。調子が出る。
    ときには「自分って、こういうことしてたんや」と、
    自分自身まで発見してしまう。


    会話そのものが、ちょっとした快感になる。


    〈関連語録〉
    あいづち稲荷
    言の葉拾い

  • uta-0183

    珍獣は
    言いたいことだけ
    言い残し
    勾玉ぶらんこ
    ちゅうぶらりん

  • uta-0182

    無月の夜
    牡丹灯籠
    ほのかに燈し
    語り合うのは
    幽界の君

  • 採集語録079「勾玉乱反射鏡」

    「勾玉乱反射鏡」

    誰かを見ようとするとき、
    心が揺れているほど、
    その人だけでなく
    自分自身までが映り込む現象。

    他者を観察しているつもりが、
    揺れる勾玉によって、
    像が固定されない。

    像が様々な方向に跳ね返り、
    最終的には、自分の感情、価値観、
    愛し方まで浮かび上がってくる。


    〈観察メモ〉
    目の前の世界は鏡。
    だが、乱反射していることも多い。


    〈関連語録〉
    勾玉関係
    振れ幅の化身
    時間差心フィルム現像



  • uta-0181

    幻の
    螺旋階段
    上り下り
    扉開ければ
    蒼い夢ひらく

  • uta-0180

    珍獣は
    標本室には
    収まらず
    今日もどこ吹く
    風のごとく

  • 採集語録078「言葉を弄んでたら短歌が生えてきた方式」

    「言葉を弄んでたら短歌が生えてきた方式」

    ふと浮かんだ言葉や、

    本を読んでいて気になった言葉を、
    
拾って書き留めておく。

    すぐにどうにかしようとはせず、
    
しばらく手元に置いておく。

    そののち、それらの言葉を並べたり、
    
入れ替えたり、組み合わせたりして
    
遊んでみる。

    すると、思いがけない言葉同士が
    
ぴたりと噛み合うことがある。

    その瞬間、

    「あ、短歌になってる」と気づく。
    作品は、あとから立ち上がってくる。


    〈観察メモ〉
    
採集しておいた言葉を弄ぶ方法、遊び。
    作者が最初から意味や構成を
    決めるのではなく、
    
言葉同士を自由に出会わせ、
    
その組み合わせの偶然から
    生まれるものを待つ。

    言葉の縁結びの実践編。
    「こういう短歌を作ろう」と
    考えてから言葉を探すのではなく、
    言葉を先に拾っておいて、

    遊んでいたら短歌のほうから生えてくる。


    関連語録:言葉の縁結び
         言の葉拾い
         回収は未来からやってくる
         勾玉揺れてたら短歌が生えてきた方式
         余白大神

  • uta-0179

    勾玉の
    振り子沈める
    術しらず
    悲しからずや
    セレナーデ