• uta-0097

    境界に
    戻される直前
    追伸一枚
    意味を尋ねに
    帰りたい

  • 採取語録「トマソン地雷」

    「トマソン地雷」


    普段は存在を忘れている無用の長物と化した地雷。
    地雷は、
踏んだ人も、
踏まれた本人も、
    驚くような場所に
ひっそり埋まっていることがある。
    しかし、一度踏まれると、
自分でも驚くほど大きな音を立てる。



    〈観察メモ〉
    地雷は怒りではない。

    地雷は、
普段はトマソンの顔をしている。
    触れられなければ、
    何の役にも立たず、
何も起こさず、
    
ただ静かに存在している。

    爆発したあと、
土を掘り返して初めて、
    
そこが「意味のある場所」だったと分かる。

  • uta-0094

    野犬から
    届きしカケラ
    拾ってみれば
    ただ繊細な
    月のカケラ

  • uta-0093

    夢のきみ
    いつもと違う
    君は少し
    声も姿も
    冬の色して

  • 採集語録010「領域展開〈あわい〉」

    「領域展開〈あわい〉」

    顕界と幽界、
    此岸と彼岸、
    現実と夢の境目に
    ひらかれる領域。


    術式は、如実観察。
    必中効果は、境界採集。


    〈観察メモ〉

    領域内では、
    ものごとの境界がよく見える。

    近いけれど、遠い。
    わかるけれど、納得できない。
    現実だけれど、どこか夢のよう。

    副作用として、
    ときどき短歌が産まれる。

  • uta-0092

    グレーかと
    思いて覗く
    その先に
    色とりどりの
    世界ひらける

  • uta-0091

    逆立った
    毛皮まといて
    現れし
    怒りの獣の
    中身は誰

  • uta-0090

    知らぬうち
    地雷原に
    踏み入られ
    見るも無惨な
    戦場の跡