• 採集語録110「野暮愛好会」

    「野暮愛好会」

    野暮愛好家の集い。

    会則:
    第一条
    野暮を見つけたら、
    見つけたことを喜ぶ。
    観察し、鑑賞し、愛でる。

    第二条
    野暮を見つけたからといって、
    指摘したり、すぐ直そうとしたりしない。

    第三条
    自分の野暮を発見した場合も、
    他人の野暮と同様に観察する。

    第四条
    野暮隠しによって野暮が増幅した場合、
    速やかに記録する。

    第五条
    粋と野暮の境界に立ち、
    そこから生じる変位を楽しむ。

    会員資格:
    野暮に気づいてしまう人
    自分の野暮さ加減にも気づいてしまう人


    〈観察メモ〉
    わざわざ野暮を粗探しするのではなく、
    野暮が自然に漏れ出ているのを
    見つけたときだけ、野暮を愛でる。
    それが、最上級の野暮愛好である。




    〈関連語録〉
    野暮 – YABO
    野暮隠し
    野暮センサー
    変位への快楽

  • 採集語録109「野暮の権化」

    「野暮の権化」

    野暮を体現する存在。

    権化は、
    野暮な言動をいくら採集しても、
    なぜか輝きが失われない。


    野暮と輝きが相殺されず、
    同時に成立するという、
    振れ幅の実例。


    〈観察メモ〉
    相反するものが、
    ひとりの人間の中に同時に存在する。

    その振れ幅こそが、
    人を単純に評価できなくする。


    〈関連語録〉
    野暮 – YABO
    野暮アウフヘーベン
    裏切らない野暮
    振れ幅大明神

  • uta-207

    むらぎもの
    心から溢れる
    言の葉を
    掬っても掬っても
    掬いきれずに

  • uta-205

    しょっぱさと
    甘さ行き来
    する夜に
    最後のグラス
    耳を傾け

  • 採集語録108「野暮の煮こごり」

    「野暮の煮こごり」

    感情や思考や出来事を
    あれこれこねくり回した結果、
    野暮な成分が濃縮され、
    煮こごりのように固まった状態。

    野暮を分析しているつもりが、
    いつの間にか野暮を煮詰めている。

    渦中では見えなかった構造が、
    時間を経て輪郭を現す。


    〈生成機序〉
    煮ている最中は、まだ煮こごりではない。
    素材が混ざり合い、火を止め、冷めていく。
    やがて固まり、初めて煮こごりになる。


    〈観察メモ〉
    寂しさも、切なさも、恋しさも、
    ああでもない、こうでもないと
    言葉にくぐらせ、短歌に圧縮する。
    そして最後に、
    「乙女心」とラベルを貼る。

    こねくり回した時間も、
    生まれた言葉も、
    ぜんぶ鍋の中。
    できあがったものは、野暮の濃縮物。

    本人は真剣。


    〈関連語録〉
    野暮 – YABO
    アルコールによるオブラート溶解

  • uta-204

    千鳥足
    秋風連れて
    帰りつき
    脱いだシャツには
    今夜の匂い

  • 採集語録107「野暮アウフヘーベン」

    「野暮アウフヘーベン」

    テーゼ:
    野暮は苦手。

    アンチテーゼ:
    いや、野暮もいいもんだ。

    ジンテーゼ:
    野暮の中にも、
    愛情や生命力や美が宿っている。

    それを見つけると、
    野暮は別の顔を見せはじめる。



    〈観察メモ〉
    野暮を排除するのでも、
    野暮を無条件に肯定するのでもない。

    野暮の中にある愛情や生命力を見つけ、
    その人ならではの魅力として捉え直す。

    野暮を見ていたはずが、
    いつの間にか、その人自身を見ている。


    〈関連語録〉
    振れ幅の化身
    勾玉関係



  • 採集語録106「少年よ、野暮を抱け」

    「少年よ、野暮を抱け」

    常識的に生きよう。
    品行方正に振る舞おう。
    賢くなろう。

    そんなレールを最初から敷いてあげるより、
    まずは思いっきり野暮ったいことを
    してみたらええやん、という提案。

    他人の野暮を見る。
    自分も野暮をやらかす。
    野暮と粋のあわいで、
    思いっきり遊ぶ。

    荒削りで、未熟で、
    訳のわからない表現の中にこそ、
    原石が眠っているかもしれない。

    最初から上品さや洗練を求めるあまり、
    その人固有の生命力や、妙な癖や、
    得体の知れない魅力まで
    削り落としてしまってはもったいない。

    野暮を抱くことは、
    野暮のままでいいということではない。
    そこから、
    自分なりの美や粋を探究していくこと。


    〈観察メモ〉
    野暮を経験する前に、
    野暮を語ることはできない。


    関連語録:ほったらかし教法
         人のふりみて我がふり磨け