©️ SATOKO NOGUCHI
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色々をため込んだ雨雲には
カミナリ様がおられたらしい
夕方には大きく暴れて
一気に街ごと浄化された
ひとときの静けさが
通り抜けたのちは
コンチキチンも
雑踏の賑わいも
軽妙に溶け合い
黒い夜空に消えてゆく
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色々をため込んだ雨雲には
カミナリ様がおられたらしい
夕方には大きく暴れて
一気に街ごと浄化された
ひとときの静けさが
通り抜けたのちは
コンチキチンも
雑踏の賑わいも
軽妙に溶け合い
黒い夜空に消えてゆく
・
鶯のあどけない
歌声を聴きながら
光と風と
さくらと遊ぶ
うららかに
自然も人も
春に染まる
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夢の中をひたすら歩いた
何か大切なものを探して
見つかったのか
見つからなかったのか
目覚めてしまった私は思う
それは何だったのだろう
夢も現実も
儚いものだ
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いつものヘアサロンのお向かいは
昔ながらの和菓子屋さん
予約時間が迫っているのに
「桜もち」の張り紙に目を奪われ
足はくるっとそちらを向いた
店内は桜の香りに満ちていて
それだけで幸せとなった
帰ってからそっと包みを開くと
可憐な香りとともに
しっとりとした桜もち
目を閉じて口に含む
広がってゆく世界
指に残った香りを聴きながら
今日もどこかで咲き始めた
ソメイヨシノに想いを馳せた
・
桜を見に行った帰り道
ふと右目の端に
何かを強烈に感じた
それは通り過ぎた私を
立ち止まらせるほどだった
自転車を降りて
その路地まで戻ると
古い町家の塀の上で
ミモザの大木が
生のきらめきを
謳歌している
その姿は
とても官能的であった
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冷たい風に吹かれて
自転車こいで会いに行った
水色の空に揺られて
オカメ桜は今年も咲いてた
心を澄ませて
呼吸を合わせると
桜の唄が
世界に響いた
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