静かな夜に。

 

IMG_4837.JPG© SATOKO NOGUCHI

 

残ったワインを手に
色々のことを考えているときだった

ふとベランダへ出てみると
お月さまが朧げに浮かんでいる

静かな夜だった

お月さまはこの曲を選んだのだろう

ショパンの憂鬱な旋律は
春の夜によく合うのだった

ミッドナイト・イン・キョート。

IMG_7656.jpg

© SATOKO NOGUCHI

アンプからは哲学的なジャズが流れ

透明なグラスと氷が重なり合う音や
木の床をパンプスの踵が叩く音
男女のささやきを融合させ

その空間を作り上げている

最低限の照明と
手元を照らす蝋燭の灯は

華奢なカクテルグラスに添える手を
セクシーで美しく見せてくれる

オーダーしたブランデーのカクテルに
名前がなかったので

密かにそのサルーンの名前をつけた

最期のステージ。

IMG_5690.jpg
© SATOKO NOGUCHI

深紅のドレスを纏い
裾をはためかせる
フラメンコダンサーの

そこはまるで
ステージだった

生まれ
咲かせ
散って
去る

「どんな姿になろうとも
死ぬまで踊り続けるのさ」

最期のステージで
彼女はそう教えてくれた

今年もまた思うのだった。

IMG_5155.jpg

© SATOKO NOGUCHI

その洋建築の二階のとある窓では

あふれんばかりの小さな花たちが
ゆさゆさと窓ガラスを撫でようとしている

その様子が実に美しい

窓枠のスクリーンに設えてある
アンティークガラスが
その光景を引き立てるのだ

ほのかな揺らぎが
巧みであるなぁと
今年もまた思うのだった