雨の中思い出したこと。

NOG_4374

©SATOKO NOGUCHI

ひたすらまっすぐ落ちてくる雨の中
いつもの道を歩いていると

ビュンビュンという音と共に
数を数える声が聞こえてくる

近づいてみれば
少年がガレージで縄跳びをしていた

一飛びずつに
律儀に数をあてがって

さんじゅういち
さんじゅうに
さんじゅうさん
さんじゅうし

そういえばあの日も
こんな雨の日だった

遠くアラブの国を旅した私は
ひとつの家族と出会った屋根の下

言葉が通じなさすぎて
思わず日本語を口にすると

その響きが彼らの心をくすぐって
無邪気にけらけらと笑うのだった

いち

さん


ろく

私は請われて何度でも数を数えた

それはなんだかとても愛おしい
幸福な時間だった


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