© SATOKO NOGUCHI
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スピーカーからは哲学的なジャズが流れ
透明なグラスと氷が重なり合う音や
木の床をパンプスの踵が叩く音
男女のささやきを融合させ
その空間を作り上げている
最低限の照明と
手元を照らす蝋燭の灯は
華奢なカクテルグラスに添える手を
セクシーで美しく見せてくれる
オーダーしたブランデーのカクテルに
名前がなかったので
密かにそのサルーンの名前をつけた
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スピーカーからは哲学的なジャズが流れ
透明なグラスと氷が重なり合う音や
木の床をパンプスの踵が叩く音
男女のささやきを融合させ
その空間を作り上げている
最低限の照明と
手元を照らす蝋燭の灯は
華奢なカクテルグラスに添える手を
セクシーで美しく見せてくれる
オーダーしたブランデーのカクテルに
名前がなかったので
密かにそのサルーンの名前をつけた
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雨上がりの夜
月と金星が
お空を散歩していた
先をゆく
月のお母さんの後を
金星の赤ちゃんが
よちよちついていく
パストラルな夜
たったんたん、たったんたん、た〜
・
・
深紅のドレスを纏い
裾をはためかせる
フラメンコダンサーの
そこはまるで
ステージだった
生まれ
咲かせ
散って
去る
「どんな姿になろうとも
死ぬまで踊り続けるのさ」
最期のステージで
彼女はそう教えてくれた
・
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わたしを夢から覚めさせるのは
近くで遠くで聴こえてくる
うぐいすの声
しばらくその美しいさえずりを
やわらかなぬくもりの中で愉しんで
徐々に現実になじませていく
それがこの季節の
何よりの悦び
・