© SATOKO NOGUCHI
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その洋建築の二階のとある窓では
あふれんばかりの小さな花たちが
ゆさゆさと窓ガラスを撫でようとしている
その様子が実に美しい
窓枠のスクリーンに設えてある
アンティークガラスが
その光景を引き立てるのだ
ほのかな揺らぎが
巧みであるなぁと
今年もまた思うのだった
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その洋建築の二階のとある窓では
あふれんばかりの小さな花たちが
ゆさゆさと窓ガラスを撫でようとしている
その様子が実に美しい
窓枠のスクリーンに設えてある
アンティークガラスが
その光景を引き立てるのだ
ほのかな揺らぎが
巧みであるなぁと
今年もまた思うのだった
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桜が語りかけると
月は耳を傾け
月が歌うと
桜は踊る
そんな素敵な夜だった
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ゆらゆらと揺れるたび
ピュアなエネルギーが放たれる
そんな様子を眺めていると
ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」を
無性に聴きたくなったが
そのCDは持っていなかった
家に帰ってラジオをつけると
まさにその曲が終わりにさしかかっていた
最後の音が抜けていくのに耳を澄ませて
しだれ桜の余韻を楽しんだ
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ふっくらと
色づいた蕾が
やわらかな風に揺られて
教えてくれた
も
う
す
ぐ
そうねそうね
楽しみにしています
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地を割る重機の轟音に
世界が壊されていると感じる朝
内側に耳を澄ませば
優雅なメロディが流れている
心の平安は
誰にも侵されるべきではない
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気配に誘われて
垣根の隙間を覗くと
精霊たちが
愉しそうに漂っている
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太陽の力強い光
冷たく引き締まる空気が
そこには必要なようだ
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美しい光景を見せてくれたことに
ありがとうと告げると
精霊はウインクして
瞬く間に消えてしまった
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足取り軽く
境内へ
そこは楽園
そこかしこから聴こえてくる
梅のハミングが
清らかで可愛いの
合わせて
スキップしたら
わたしもハミングしていたわ
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