©SATOKO NOGUCHI
・
オープンしたての喫茶店のテーブルは
小さな宇宙
美しいレースに包まれた宝石が
喜びや憂いを秘めて
秋を纏っている
コーヒーを待つ間
そっと掌にのせて揺らしてみると
からからと乾いた音
遠く恋人からの手紙のように
心をキュンとさせた
・
・
オープンしたての喫茶店のテーブルは
小さな宇宙
美しいレースに包まれた宝石が
喜びや憂いを秘めて
秋を纏っている
コーヒーを待つ間
そっと掌にのせて揺らしてみると
からからと乾いた音
遠く恋人からの手紙のように
心をキュンとさせた
・
・
まるで命を宿しているような
黄金色の勾玉
それは当然のように
真っ黒な闇を纏っている
・
ご飯の仕度が終わり
もう一度見ようとベランダに出ると
白いお月さまが別人のような顔をして
そこにいた
キンモクセイの香りが
鼻をかすめていった
・
漆黒のビロードに
真珠のようなお月さまが
妖しい光を放っている
今夜は色っぽい夜
アサガオを眺めながら
キンモクセイの香りを聴く
それはまるでこの世にいながら
亡き人の声を聴いているような感じがする
すかすかなのに
確かにここに存在しているというような