©SATOKO NOGUCHI
この場所から眺めたくて
自転車こぎこぎ家路を急ぐ
見えた景色は色っぽくて
冷蔵庫で冷やしておいたシェリー酒を
飲みながら眺めるには
ぴったりの景色だった
この場所から眺めたくて
自転車こぎこぎ家路を急ぐ
見えた景色は色っぽくて
冷蔵庫で冷やしておいたシェリー酒を
飲みながら眺めるには
ぴったりの景色だった
・
二日月のイヤリングが
軽やかに揺れている
それは
冷やし中華を運んできた
彼女の小さな耳によく似合っていた
・
家へ戻ると雲の間を
月が上がっていくところだった
・
今日は二日月だったのだ
目の前の大文字へと向かう道が
まるであの世へと続く道のよう
大勢の魂が
その方角へ向かっている
街灯はその道標
・
そして私は
ごきげんよう
また来年
ファインダー越しに手を振った
プールから上がったばかりの
麗しい女性の姿を思わせる
雨上がりのむくげ
気丈な花
天神様に届きますように
この灯に願いを込めて
・
京の七夕 @ 北野天満宮
お山がすべて蝉の大群に
支配されているのではと思うほど
耳に迫る鳴き声が
徐々に小さくなっていく頃
ヒグラシのノスタルジックな声が
どこからか静かに響いてくる
八坂の塔を眺めながら
諸行無常を感じた日
今夜の満月は
まるで手のひらに小さくおさまる
無釉薬の白磁のよう
・
京都には白い月がよく似合う