二日月夜。

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©SATOKO NOGUCHI

二日月のイヤリングが
軽やかに揺れている

それは
冷やし中華を運んできた
彼女の小さな耳によく似合っていた

家へ戻ると雲の間を
月が上がっていくところだった

今日は二日月だったのだ

送り火。

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©SATOKO NOGUCHI

目の前の大文字へと向かう道が
まるであの世へと続く道のよう

大勢の魂が
その方角へ向かっている

街灯はその道標

そして私は

ごきげんよう
また来年

ファインダー越しに手を振った

ヒグラシ。

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©SATOKO NOGUCHI

 

お山がすべて蝉の大群に
支配されているのではと思うほど

耳に迫る鳴き声が
徐々に小さくなっていく頃

ヒグラシのノスタルジックな声が
どこからか静かに響いてくる

八坂の塔を眺めながら
諸行無常を感じた日