©SATOKO NOGUCHI
「大船鉾が一番好き」
とは隣で見物していた小さな男の子
大船鉾はロマンを乗せて
今年の今日もゆく
悠々と
厳かに
「大船鉾が一番好き」
とは隣で見物していた小さな男の子
大船鉾はロマンを乗せて
今年の今日もゆく
悠々と
厳かに
・
たくさんの水の粒たちが
舞い降りては
みるみる地面の色を変えて
広がっていく
・
ぽちゃん
ちゃぷん
ぽたぽた
たったったったっ
さーさー
ざーざー
だっだっだっだっ
しゃっしゃっしゃっ
ぴたぴた
ぺたぺた
ぴとぴと
・
ショーはつづく
傘を持っていない私など
おかまいなしに
薄曇りの空の下
お稚児さんが現れるのを待ちわびながら
「今年も変わらず熱いなぁ」
と口をつく
その言葉を拾いながら気がついた
今日という日は
暑いを通り越して
熱くなくてはいけないのだ
おはらい町通りでは早朝から
軒先を出たり入ったりの大忙し
色んなところからピーピーと
おねだりする声が聞こえてくる
まずは参拝に行きたいのに
気がそれていけやしない
つられて親鳥が入っていった店へ
一瞬暗くなった目を
慣れさせながら見上げると
つぶらな瞳が
こちらを見下ろしていた
・
赤福本店にて