©SATOKO NOGUCHI
山の麓の寺の庭では
梅雨の隙間を
爽やかな風が吹いている
夏の匂いをさせながら
山の麓の寺の庭では
梅雨の隙間を
爽やかな風が吹いている
夏の匂いをさせながら
苺月
って呟いたら
月がくすと笑った気がした
ラジオから流れてくるギターの音色に
ぼんやりと耳を傾けながら
今朝淹れたコーヒーがなぜ不味くなったのか
思いあぐねていると
小さな裸ん坊の王子さまが
作り付けの田んぼにピョンとやってきた
なるほど
季節が変わっていたのか
王子さまはわたしを一瞥すると
すぐに飛んでいなくなってしまった
雨上がりの朝
境内は清浄な気に満ちている
すべてが宙を仰いでいるようで
わたしもつられて大きく上を向く
夜更けに少しふっくらした赤い実が
初めて履いたトゥシューズのように
少し恥ずかしげに揺れていた
奇しくも
北野天満宮で雷除大祭が行われた夜
部屋でパソコンに向かっていると
急に空気が重たく変わり
これは来るな
と解った
雷は何度も何度も鳴り響き
光る度に何かがフラッシュバックする
それが何であるのかはわからない
その後ベッドに入ると
変な夢を繰り返し見た