@SATOKO NOGUCHI
港にほど近い神社でベンチに腰掛け
海を眺めていると
遠くから仰々しいサイレンの音が
響き始めた
みるみるうちに鈍よりとした雲が垂れ込めて
ポツポツと小さな雨粒が落ちてくる
サイレンは依然として鳴り続き
灯篭の上で休んでいたカラスも
うんざりした表情を湛えている
私は胸騒ぎを覚えながらも
もう少し海を眺めていたくて
そこに佇んでいることにした
純粋に現在を味わうには
なんと贅沢な時間だろう
はじめて訪れた場所で
その土地に礼を言った
14時46分