©SATOKO NOGUCHI
薄暗い室内の
すべての壁は真っ赤に塗られている
座布団はアロハ柄で統一され
テーブルに置かれた薔薇は
完全に生気を失って首を垂れている
夏から置きっぱなしなのであろう扇風機
インド調の象の置物
えんじのベルベットの布がかかった
ライトアップのピアノ
調和を見つけられない
そんなものを求めてはいけないとでも言うように
エリック・クラプトンの曲がひたすら流れている
日本家屋を改装したその店で
ぬるくなったコーヒーに目を落としながら
何故か私は海を想った
海を求めたのかもしれない
その後、訪ねたお寺で
雲水たちに遭遇した
雲水が身にまとった美しい衣に
目が眩んだせいだろうか
私はそこに海を見た