余韻。

104-DSC04679©SATOKO NOGUHCHI

 

薄墨色の空の下
手すりに体を預け

蕩けるような水の動きを
適当に目で追っていると

心がほんの少し
海に落ちていきそうになっていた

すると軽やかなメロディが
背後から聴こえてきて

思わず振り返ると
えんじ色のコートを身に纏った
白髪の小柄な女性の鼻歌だった

妙に印象的なメロディと
足取りも軽やかな後ろ姿は
しばらくの間そこに余韻を残した

見上げれば
空が少し明るくなったように見えた


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