冷たい雨と月曜日。

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 ©SATOKO NOGUCHI

朝からどんよりと暗い

一日中篭っていたい誘惑にかられる
どうしたってこの季節はしんどいものだ

受け入れて味わうように
言い聞かせて
思い切って外へ出た

 冷たい雨が皮膚にあたる

目から涙
鼻から雫

深夜になって
雨は雪に変わった

お月さま。

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 ©SATOKO NOGUCHI

吐くたびに
空気に溶けて消えていく
白い息を観察しながら

いつもの散歩道を歩いた

夜の帳が降りる時間
藍色の空は
みるみる漆黒に染まっていく

白く薄いお月さまは
ほのかに優しく
世界を照らしている

その時わたしの白い息が
お月さまを包み込んだ

余韻。

104-DSC04679©SATOKO NOGUHCHI

 

薄墨色の空の下
手すりに体を預け

蕩けるような水の動きを
適当に目で追っていると

心がほんの少し
海に落ちていきそうになっていた

すると軽やかなメロディが
背後から聴こえてきて

思わず振り返ると
えんじ色のコートを身に纏った
白髪の小柄な女性の鼻歌だった

妙に印象的なメロディと
足取りも軽やかな後ろ姿は
しばらくの間そこに余韻を残した

見上げれば
空が少し明るくなったように見えた

おかめの魅力。

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©SATOKO NOGUCHI

むかしむかし
千本釈迦堂の本堂を建てるとき
棟梁を務めた大工が柱の寸法を間違えてしまいました

重大な失敗に苦悩している棟梁に助言して
窮地を救ったのが
妻のおかめさんでした

しかも彼女はその後
夫を立てるために自害してしまいましたとさ

何も自害までしなくったって…
その時の様子やおかめさんの心境を
想像するのがなかなか難しくて
脳の奥まで手を入れたくなる

舞台に登場したおかめさんは荒れ狂う鬼を
溢れんばかりの優しさと愛嬌でなだめる
チャーミングな女神だった

全国のおかめ信仰の発祥のお寺
千本釈迦堂 大報恩寺のおかめ福節分