©SATOKO NOGUCHI
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きっといつもそうしているのだろう
おじさんと犬は特に座る場所を探すでもなく
そこまでくると腰を下ろした
おじさんは海を眺めながら
犬は波の音に耳を傾けながら
ふたりの時間を楽しんでいるようだった
寒い日の漁港は
冷たい風がたくさん重ね着した服の間を通って
肌に刺さるようだったが
ふたりの素敵なシルエットは
束の間その感覚も忘れさせた
・
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きっといつもそうしているのだろう
おじさんと犬は特に座る場所を探すでもなく
そこまでくると腰を下ろした
おじさんは海を眺めながら
犬は波の音に耳を傾けながら
ふたりの時間を楽しんでいるようだった
寒い日の漁港は
冷たい風がたくさん重ね着した服の間を通って
肌に刺さるようだったが
ふたりの素敵なシルエットは
束の間その感覚も忘れさせた
・
起きたら
世界が変わっていた
大げさな気もするけれど
いつもそう思うのだ
雪の降る朝
念願の金閣寺へ
ひとり夜の知らない土地で
雪になりそうな雨の中
お酒と夕食をとれるお店を探しに出た
沢山のネオンがビニール傘越しに
ぼんやりと重なって
歓楽街もこうやってみると美しいものだ
と思いながら歩いた
30分も経っただろうか
わたしはピンとくるお店と出会えずに
気づけば同じ道に戻ってきたことに気づく
見上げると
黒いレースがビルの壁を覆っている
わたしは何故かそれだけで
お腹が一杯になってしまい
缶ビールだけ買ってホテルに戻った
宮川町の舞妓さんによる
福笹と福餅の授与
それはもう可愛いすぎて
舞妓さんを取り囲むみんなのお顔が
デレデレでした
勿論わたくしも
1月11日
京都ゑびす神社にて
” 十日ゑびす大祭”の”残り福祭”
極めて小樽的な風景
水天宮への坂と階段を
えっちらほっちら
登り終えたところで
振り返るのさ
ノスタルジーを強く感じるのは
こんな天気の日
朝なのに薄暗い
母と祖母が駅まで送ってくれた
どこをどう選んでも
こんな感じなのかも
どんなに危うい道でも
前を向いて一歩一歩
進んでいくしかない
どんなに歩みが遅くても
止まってしまったり
引き返してしまっては
たどり着かないのだから
小樽運河のつるっつるの遊歩道を
よちよちと歩きながら
今の自分の状況と重ねて
いちいちそんなことを考えてしまう
自分に気づいて苦笑した