©SATOKO NOGUCHI
十一月も終わりのある日
京都御所を散策していると
私の背中にカマキリさんがくっついていました
一緒に歩いていた方が見つけて教えてくれたので
私は反射的にコートを払ってしまいました
ポロンと落ちたカマキリさんは
ずいぶん弱っているようで動きも鈍く
ハァハァと息使いが聞こえてくるかのようでした
そして、せっかく心地よい場所を見つけたのに…
と物欲し気にこちらを見上げているではありませんか
私もそんなカマキリさんの姿を見て
こんなに大人しいのなら
この紺の地味なコートを
その美しいエメラルドグリーンで
ブローチのように彩ってもらえばよかった…
とも思ったのですが気を悪くされたようで
戻って来てはくれませんでした