©SATOKO NOGUCHI
夕暮れが近づく頃
私は自分が ”今ここ”にいるという不思議を
何とはなしに感じながら鴨川沿いを歩いていた
暫く歩いていると
白い鷺が淡い群青色に染まる水辺で
佇んでいるところに出くわした
私は鷺の美しさに気を取られ
土手に座ってしばらく静かに眺めていると
鷺は横を向いたまま
「行ったり来たしているのさ」
とだけメッセージを残して去ってしまった
行ったり来たり?
どことどこを?
………
あぁそうか
私はこういう曖昧が
大好きだったのだ
でももうそれも終わりにしなければ
年の瀬に鷺から受け取るとはなぁ