©SATOKO NOGUCHI
青虫からの伝言は
ずいぶん具体的で
真摯なものだった
わたしはそれを受け止めて
希望と絶望の間で揺れる
青虫からの伝言は
ずいぶん具体的で
真摯なものだった
わたしはそれを受け止めて
希望と絶望の間で揺れる
目の前に広がる
松島の絶景を眺めながら
ため息と息継ぎ
ここにたどり着くまでに
正しいかどうかわからない坂道を
一時間近く歩かされる
だから
ため息は感嘆のため息で
息継ぎはただの息継ぎなのである
思い返せばこんなことばかり
簡単に手に入るより
それを手に入れるまでの
過程が濃い方が
実はとても記憶に残っている
だからこそ私は
望んでいない風で
こういう道を選んで
しまうのかもしれない
安心していると行ってしまう
いつものことだ
匂いとともに過ぎていって
探してももう遅い
こんな風景に出会ったからだ
というのは言い訳かもしれない
遠くへ行きたい
いつだって思い立ったら行けるのに
行けないふりはもうやめよう
青い光
冷たい空気
凛とした塔
静かな朝