©SATOKO NOGUCHI
「京都は新緑の季節に限る」
何度かこのセリフを耳にしていた
さくらの季節は人が多過ぎるし
夏になれば暑過ぎて外に出かけるのが
億劫になってしまう
だから間を取ってこの季節?
当初はそう思っていた
京都に移り住んで初めて迎えた新緑の季節
ゴールデンウィークが始まる直前だったと思う
とある昼さがりの寺院のお庭で
夢の世界かと見紛うほどの
鮮やかな躍動感あふれる緑色の世界に
誘われてしまったのだ
それは他の季節では味わえない
自分の中の細胞が新芽の生み出す空気
(生命力というのかもしれない)
と混ざっていくような不思議な感覚だった
この時
どうして長い間
この感覚を
忘れていたのだろうと思った
東京で落としてしまっていたのかもしれない