好きなフリして近づくと
決まって離れて行ってしまうよね

ある程度離れたら
そうやって振り返ってジロリ

そんなに怪しまなくたって

あぁーん、もう、やっぱり私は犬派だわ
と開き直った午後

出会った犬にも吠えられた

そろそろ蕾が膨らみ始めた頃では？

そう思いながら散歩の途中
銀月アパートメントへ

建物の隙間から差し込む夕暮れ時の
斜光がほんのりと当たる一枝、二枝には

もう花が咲いて
ゆらゆらと風が撫でるのを
楽しんでいるように見えた

そして私は今年もまた
普通に見えるのに
”見つけた” 気分になる

ここのしだれ桜は格別

満開のしだれ梅に
メジロまで登場したら
うららかすぎてまいっちまう

春はこれだから困る

城南宮の枝垂れ梅

©SATOKO NOGUCHI

朝日を浴びて輝くそれは

まるでドリームキャッチャー

私の悪夢を食べておくれ

©SATOKO NOGUCHI

下鴨神社の脇の小径を
無心に歩いておりました

たっぷり降った雨がやっと小雨になったところで
びちゃびちゃになった足元を気にしながら

もう傘は閉じようかな、と顔を上げた途端
目があったのです

その青い目でずっと見られていたような
気がしたものですから
別に普通に歩いていただけなのに
何だかちょっと気恥ずかしく感じたのです

話しかけたらもっと恥ずかしくなりそうだったので
カメラを向けて無言でシャッターを押しました

そのまま通り過ぎて
一本道を歩いて行く私の背中は
いまだ見られているような気配を感じ
少し歩いて振り返ったのですが
そこにはもう何もありませんでした